02 February, 2009

黒い海




肉体は魂の入れ物にすぎない
という概念は過去の物
傍目からすると
魂は肉体を置き去りにして
遥か彼方へ
しかし
当の本人は
肉体ごと
重力に抗い
圧倒的な確信を持って
記憶の黒い海を泳ぐ
記憶の黒い海を泳いだ記憶は残らない
から
もう泳げない
スピードは
だれの理解も及ばない単位を得て
どこまでも
どうなるのか
白い箱ごと
旅を続ける
たくさんの付箋をはられ
無色透明でいることはゆるされず
自らを染める
水彩色
誰にも見えないまま
消えていくがよい

救いを求める
臆病な爪は
ピアノを奏で
誰にも聞こえないまま
消えていくがよい

雲にとけ
流れて
しみこむ



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